あるく

太宰府天満宮の境内に常設されている
現代アートをご案内します。

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太宰府天満宮アートプログラムで作家たちが
太宰府天満宮や神道について考えた結果生まれたここにあることに意味がある作品ばかり。
「なに?」「なぜ?」「どうしてここに?」といろんな「?」の気持ちでご覧ください。

Really shiny stuff that doesn't mean anything 本当にキラキラするけれど何の意味もないもの の作品写真 1

Really shiny stuff
that doesn't mean anything
本当にキラキラするけれど
何の意味もないもの

ライアン・ガンダー(Ryan Gander

平成23年(2011)

すごく光ってるけど、何?

この球体は、磁石に吸い寄せられた、たくさんの金属片でできているよ。圧倒的な存在感がある球体だけど、その中心にあるはずの “磁力”は、目に見えないんだ。この「中心にあるのに見えない」ことを表現した作品を、太宰府天満宮で見ることには、特別な意味がある。なぜなら、みんながいると信じていてお祈りをしている神様も、わたしたちの目には見えないから。作家は、目に見えない大切なものの存在を伝えようとしているのかな?
※神社の行事などにより展示されていない場合がございます。

©Ryan Gander, Courtesy of TARO NASU, Photo by Kei Maeda

Everything is learned, VI すべてわかった VI の作品写真 2

Everything is learned, VI すべてわかった VI

ライアン・ガンダー(Ryan Gander

平成23年(2011)

岩に座ってたのは誰?

近くで見ると、岩の上部が摩耗しているのが分かる? この岩は、みんながよく知るオーギュスト・ロダンの彫刻「考える人」が、岩が磨り減るほど考えに考えて、「すべてわかって」立ち去った、という物語をもとに、作家が置いたものなんだ。そう知った後で、もう一度岩を見てみよう。少し前までいたに違いない“考える人”の姿が目の前に見えるようだし、 “考える人”がわかったことはなんだったのだろう、と考え始めてしまわないかい?

©Ryan Gander, Courtesy of TARO NASU, Photo by Kei Maeda

Metaverse 並行宇宙 の作品写真 3

Metaverse 並行宇宙

ライアン・ガンダー(Ryan Gander

平成22年(2010)

伝説をめぐる不思議

3つに割れた石柱は、かつてイギリスの富裕な探検家が「新種の極楽鳥を発見した」功績を讃えた記念碑だったけど、いまではすっかり朽ち果ててしまった…。この話にはホントとウソが混ざっている。探検家は実在していて、「極楽鳥発見」は作家の作り話。ときに伝説は創造され、破壊されることで、さらに伝説としての輝きを増すことがある。この伝説をめぐる不思議なメカニズムと、見る人の想像力によって贋の石柱がいきいきと感じられてくるね。

©Ryan Gander, Courtesy of TARO NASU, Photo by Yasushi Ichikawa

Like the air that we breath この空気のように の作品写真 4

Like the air that we breath この空気のように

ライアン・ガンダー(Ryan Gander

平成23年(2011)

何が埋まってるのかな?

木の柱の下には、太宰府天満宮幼稚園児たちの「大切なモノ」75個が埋まっているよ。柱には、その一つひとつが記号にされ、ピクトグラムとして彫り込んであるんだ。大切なモノは、もう見ることができない。でも、目に見えないことでかえってわたしたちは、それぞれが持っていた姿やエピソードを、自由に想像することができるようになるんだ。「一番大切なのは、想像力を喚起させることそのもの」だって、作家が言っているそうだよ。

©Ryan Gander, Courtesy of TARO NASU, Photo by Yasushi Ichikawa

The Problem of History 歴史について考える の作品写真 5

The Problem of History 歴史について考える

サイモン・フジワラ(Simon Fujiwara

平成25年(2013)

単なる椅子ですよね?

この作品の近くにある、ブロンズ製の麒麟像は見た? 麒麟像はかつて二体存在したんだけど、一体は第二次世界大戦で武器をつくるための金属供出で失われてしまったという歴史があるんだ。ところでこのどこにでもありそうな椅子、なんとブロンズ製! プラスチック加工でカモフラージュされることで、これまでその麒麟が生き延びてきたように、波瀾万丈の世界を残っていくのかもしれない。ブロンズの椅子が残った未来の世界は、どうなっているんだろう?

©Simon Fujiwara, Courtesy of TARO NASU, Photo by Sakiho Sakai & Junko Nakata (ALBUS)

The Problem of Time 時間について考える の作品写真 6

The Problem of Time 時間について考える

サイモン・フジワラ(Simon Fujiwara

平成25年(2013)

誰の手形?

これは、太宰府天満宮幼稚園児たちの手形だよ。スプレー缶の塗料で、作家と一緒にパフォーマンスによってつくったものなんだ。でもこれ、例えば“洞窟に残された古代人の手形”だと言われれば、そう見えてこないかい?園児たちの手形は、風雨に晒されるうちに色褪せていくだろう。でも、現代のわたしたちが古代の手形を見るということを、当時の人達は想像したかな?いま新しくつけられた手形は、この先どう変わっていくんだろう?

©Simon Fujiwara, Courtesy of TARO NASU, Photo by Kei Maeda

The Problem of Faith の作品写真 7

The Problem of Faith 信仰について考える

サイモン・フジワラ(Simon Fujiwara

平成25年(2013)

松葉杖、刺さってますか?

人々が健康を願う気持ちはとても強く、時にそれは信仰につながっていく。南仏の「ルルドの聖母」の岩窟に、治癒した人の松葉杖が多く供えられ、さらに祈る人たちを集めているみたいに。この岩は作家がコンクリートでつくったフェイクの岩。しかし人々が信じれば、ここが信仰の場になる可能性だってあるよね。祈りの場は、こうしてできたかもしれないと、作家は投げかけているんだ。それを祈りの場である天満宮で考えるのも、不思議な体験だね。

©Simon Fujiwara, Courtesy of TARO NASU, Photo by Sakiho Sakai & Junko Nakata (ALBUS)

EXOMIND ソトタマシイの作品写真 8

EXOMIND ソトタマシイ

ピエール・ユイグ(Pierre Huyghe

平成29年(2017)

千年先の未来はどうなっているのかな

自然と人工物の関係性をテーマに作品を発表してきた作家は、境内地に、「永遠の」庭をつくったんだ。頭を蜜蜂に覆われた女性像や、御神木「飛梅」の子孫の梅の木、代々続いて縁起が良いとされるダイダイの木、モネの池の睡蓮など、いろんな要素が散りばめられている。いつからいつまでという終わりが決まっている展覧会とは異なり、ここでは新しい生態系や人の力ではコントロールのできない進化や変異が見られそうだね。
※公開日については、本ウェブサイトTOPページの「おしらせ」をご確認ください。

©Pierre Huyghe, Courtesy of TARO NASU, The National Museum of Modern Art, Tokyo, Photo by Yasushi Ichikawa

THE CENTER OF A CENTER ひとつの中心のその中心 の作品写真 9

THE CENTER OF A CENTER ひとつの中心のその中心

ローレンス・ウィナー(Lawrence Weiner

令和2年(2020)

ひとつの中心のその中心???

自分の作品を、言葉を組み合わせてできる「彫刻」ととらえる作家は、太宰府天満宮や神道について調べ、考え、この彫刻作品をつくった。近寄りすぎると全貌を把握することが難しいくらい大きな作品だ。神社の選択によって、広い地面の3ヶ所に配置されたこの意味深な言葉に戸惑うかもしれないけれど、大切なことはこの言葉について考えながら歩くこと。中心がたくさんあるということは、神道の寛容さに対する作家の解釈かもしれないね。

©Lawrence Weiner, Courtesy of TARO NASU, Photo by Kazuaki Koganemaru

Echo エコー/Narcissus (Dazaifu) ナルキッソス(太宰府)の作品写真 10

Echo エコー

田島美加(Mika Tajima

令和3年(2021)

Narcissus(Dazaifu)ナルキッソス(太宰府)

田島美加(Mika Tajima

令和4年(2022)

エコーとナルキッソスは
お互いになくてはならない存在

古代のピラミッドやSF映画に出てくる宇宙船にも見えるのは、瞑想の彫刻。ここに座って考えにふけることもできる。蓄光素材が使われた作品エコーの表面は、太陽光とナルキッソスという名のブラックライトの組み合わせで、日中は、スクリーンのように電気を帯びて光りながら、エネルギーをどんどんチャージしていく。エネルギーが満タンになったら、太陽が沈んだ後も神社の森の中でひっそりと光を放出する。自然のエネルギーを取り込み、循環するサステナブルな作品だね。
※作品には座れますが、土足ではのぼらないでください。

©Mika Tajima, Courtesy of TARO NASU, Photo by Yasushi Ichikawa