津田直 写真展
辺つ方の休息
- Date
- 2018年5月12日 - 2018年7月01日
- Artist
- 津田直 Nao Tsuda
- category
- 写真現代アート
写真家 津田直は、日本だけでなく世界中を旅しながら、人間と自然の関わりを見つめ続けています。行く先々で目の前に広がる風景に全身で向き合い、自然を切り取る、その独特なアプローチによって数々のランドスケープ作品を発表してきました。近年では、土着の信仰に支えられた聖域や独自の民族的文化を守り続ける集落での撮影、古代文明をたどるフィールドワークに基づく作品づくりにも取り組んでいます。2017年5月、冬から夏へと季節が移り変わる瞬間を追い求めたフィンランドでは、群島の岩場や岸辺から見つめた草木がいち早く夏の到来を察知して新芽を開く様や、人々が世代を超えて大切にしているという、短い夏を満喫するための小屋とそれを取り巻く自然の姿に、北欧の初夏を見出しました。植物の息吹、氷が解けた湖面、陽の光や風、といった被写体に目を凝らして写し取った一瞬に、津田作品の世界観が感じられます。
文書館では、「辺つ方(へつべ)の休息」と題し、津田直が本展のために撮りおろした写真作品を展示いたします。フィンランド南西部にあるヴァーノ島で芽吹いた植物や、ユヴァスキュラ近郊の湖畔に建つサマーコテージを包み込む空の色。津田がとらえた北欧の初夏の訪れを、日本建築の中でご覧ください。畳敷きの空間に特別設計した展示台は、ゴツゴツとした岩の多い島を歩くような心持ちで、体を斜めにしたり、座ったり、視線を変えながら作品を見るための仕掛けにもなっています。
〈展示作品〉
Courtesy of the artist
津田直 Nao Tsuda
写真家。世界を旅し、ファインダーを通して古代より綿々と続く、人と自然との関わりを翻訳し続けている。文化の古層が我々に示唆する世界を見出すため、見えない時間に目を向ける。2001年より個展を中心に多数の展覧会を開催。2010年、芸術選奨新人賞美術部門受賞。大阪芸術大学客員教授。2012年より東京と福岡の二拠点にて活動。