今年のNEW NEW DAY(3月16日)について

平成23年(2011)の発足翌年から毎年、「NEW NEW DAY」をお祝いするためにカードを送っています。
10回目の記念日となる令和2年(2020)は、ライアン・ガンダーのアイディアにより、かすみ草の種が漉き込まれた白いカードを作りました。

「NEW NEW DAY」とは、平成23年(2011)に開催された、「太宰府天満宮アートプログラムvol.6 ライアン・ガンダー ‘You have my word’」出品の新作7点のうち、太宰府天満宮独自の新しい記念日を作ろうというガンダーの呼びかけにより、展開されたプロジェクト「The ‘thinking’ art enthusiast’s national treasure/「考える」熱烈な美術愛好者のための国宝, 2011」の中で、命名された記念日の名前です。

記念日はガンダーではなく、太宰府天満宮の職員が選定し、3月16日に決まりました。昭和46年(1971)3月16日、太宰府天満宮は、国立博物館を太宰府に誘致するため、福岡県に用地を寄附しました。国博誘致は、先々代宮司からの悲願で、100年の時を経て平成17年(2005)遂に開館しました。代はかわっても、大切な思いは脈々と受け継がれ、夢を実現するために大きな一歩を踏み出したのがこの3月16日です。

そして、ガンダーによって提案された新たな記念日の名前は「NEW NEW DAY」。ガンダー曰く、「身の回りの見慣れたものを白一色に塗りつぶす、というのがNEW NEW DAYに想定される儀式」ですが、花嫁の白無垢、清め塩など白色が象徴する清浄無垢な状態に戻って、もう一度、自分にとって本当に大切なもの、未来に伝えていくべき何かを考える、というのがコンセプトです。また、本作に直接影響を与えたのは「大祓(おおはらえ)」神事などの神道思想と言えます。数回にわたる太宰府天満宮への来訪を通して、ガンダーにとって新鮮に映った異文化の思想と、彼が本来持っている能動的な人生観、すなわち既存のカレンダーによるのではなく、自分自身の設定したそれによって生きる姿勢とが交差して、本プロジェクトは誕生しました。

また、ガンダーは、「NEW NEW DAY」を象徴するキャラクターARATAちゃんを考案しました。白一色の装束に身を包み、白いペンキ缶とブラシで、世界を一新、白に塗り直そうとするポーズをとっています。

 

‘You have my word’展は終了しましたが、屋外作品3点は引き続きご覧いただけます。
時が経過し、少しずつ境内に溶け込んでゆく作品の変化を是非ご覧ください。