太宰府天満宮アートプログラムvol.12 スーザン・フィリップス「Shine on Me」

Date
2025年10月19日 - 2026年5月10日
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太宰府天満宮では、平成18年(2006)から続くアートプログラムの第12回目として、ベルリン在住のアーティスト、スーザン・フィリップスによる個展「Shine on Me」を開催します。
フィリップスは、歴史や記憶を宿す土地や公共空間において、人と場所を音でつなぐサウンドインスタレーションを世界各地で発表してきました。2024年に初めて太宰府を訪れた彼女は、1100年を超えて信仰と文化を育んできた当宮の森、そして御祭神・菅原道真公の生涯と詩歌に触発された新しい作品を制作しました。
境内の森に常設される《The Trees Listen》は、8つの法螺貝の音を用いた作品です。西洋文化において森は孤独や追放の象徴として描かれることが多く、左遷の地で詩を残した道真公の境遇とも重なります。森や風といった自然のイメージを起点に生まれた本作。音と沈黙が溶け合う木立の中で、見えざる気配を感じさせます。
宝物殿に展示される《Shine on Me》は、初期の音響探知装置「サウンドミラー」に着想を得たインスタレーションです。スピーカーが組み込まれた3つのパラボラ状の鏡が、宙に漂うように吊り下げられてゆっくりと回転し、互いに向かい合いながら作家の声を響かせます。
「Shine on Me」という展覧会タイトルのもと、それぞれの作品が呼応して音と光、自然と人、過去と現在が響き合う空間を生み出します。木々にこだまする呼吸や鏡に集まる響きの中で、私たちを時間や距離を越えた感覚の旅へと誘います。

The Trees Listen, 2025 Eight channel sound installation

【スーザン・フィリップス プロフィール】
1965年グラスゴー生まれ。現在はベルリンにて活動中。歴史や記憶を抱く場所や公共空間において、特定の場所と人々を音で結びつけるサウンドインスタレーションを世界各地で発表。これまでに、ミュンスター彫刻プロジェクト2007(ミュンスター、2007)、シドニー・ビエンナーレ(シドニー、2008)、ドクメンタ13(カッセル、2012)、マニフェスタ10(サンクトペテルブルク、2014)などに参加。2010年には《Lowlands》でターナー賞を受賞。
主な個展として、「War Damaged Musical Instruments」(テート・ブリテン、ロンドン、2015)、「Night and Fog」(クンストハウス・ブレゲンツ、2016)、「Lost In Space」(ボニエールス・コンストハル、ストックホルム、2017)、「I See a Darkness」(テート・モダン、ロンドン、2018)、「Villa Cerutti」(カステッロ・ディ・リヴォリ、2019)、「Songs Sung in the First Person on Themes of Longing, Sympathy and Release」(サンフランシスコ近代美術館、2022)、「The Lower World」(MUDAMルクセンブルク現代美術館、2025)など。
日本では、「札幌国際芸術祭2014」、「PARASOPHIA: 京都国際現代芸術祭2015」に参加。2020年には、国内美術館として初めてポーラ美術館(箱根)に作品が収蔵。

【展覧会概要】
令和7年(2025)10月19日(日)~令和8年(2026)5月10日(日)
※10/20、11/3・24、1/5・12、2/23、5/4を除く月曜休館
開館時間:9時~16時30分(入館は16時まで)
会場:太宰府天満宮宝物殿 企画展示室および境内
〒818-0117 福岡県太宰府市宰府4-7-1
観覧料:一般500(400)円・高大生200(100)円・小中生100(50)円
※( )内は30名以上の団体料金、障害者手帳提示により付添者1名まで半額料金
主催:太宰府天満宮
アートテクニシャン:フランク・ボーデ

【オープニングイベント】
スーザン・フィリップス アーティスト・トーク
※逐次通訳あり
日時:令和7年10月19日(日)14時~15時30分
場所:太宰府天満宮 文書館
参加費:無料
定員70名 ※定員になり次第、締め切ります
参加方法:こちらのフォームからお申し込みください